一期一会
８　二人の距離
誕生日の後、高校で初めてのテスト週間が私達を待ち構えていた。
部活もテスト期間に入ると休みになるので、寂しいが朝練を眺めるのも暫くはお休みだ。
でもいつも朝練を観るために早起きしていたので癖がついているせいか早くに目が覚めた。
準備ができた私は学校へ向かう。


「おはよう、早いね」

「おはよ、西野」

数人しか居ない教室に中原君は既に居た。


「いつも早起きしてるから癖で起きる」

「そうなんだ」

とても分かります。
でも中原君にはバレないように惚けて返す。

中原君は雑誌を広げてジュースを飲んでいた。

「前、座る？」

「じゃあ失礼します」

彼に促されて席に座ると、目の前の雑誌を覗き込む。
これはファッション誌かな？

「何読んでるの？」

「ファッション誌。これだけは毎号買っちゃうんだよね」

そう言いながら表紙を見せてくれた。
やっぱりそうだったようだ。

「そうなんだ」

確かに中原君、こういうの愛読してそうだ。
一度見た私服は凄くお洒落だったし。
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