極上御曹司の愛妻に永久指名されました

6、朦朧とする意識

「紫ちゃん、来週アメリカから『inf』社の社長と副社長が見えるから、ホテルと夜の食事の手配頼める?」
副社長室から秘書室に戻って来た長谷川が、私に声を掛けた。
今、秘書室には私しかいない。
だから長谷川も大学時代のように私を下の名前で呼ぶ。
風間コーポレーションで働くようになって三日目。
朝から晩まで働かされ、少々バテ気味。
おまけに風間が役員に私のことを婚約者だと紹介したものだから、社長には『息子のことをよろしく頼むよ』とにこやかに挨拶されるわ、それを噂で知った若い女子社員に睨まれるわ……頭が痛い。
仕事の方は、社長の第一秘書の田島さんが秘書業務について丁寧に教えてくれるけど、一人前になるには一年はかかりそうだ。
そんな私とは対照的に、長谷川はスマートに風間をサポートしている。
風間の父親と長谷川の父親が親友みたいで、長谷川は普通の新入社員とは違う特別待遇。
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