元カノと復縁する方法
7.揺れる心
「颯、お前、顔やばい。」

同行での外出の帰り道。蓮は、険しい顔をして言った。
あの日から、もう2週間ほど経っていた。

「顔が、なんだよ。」

「あれだ、あれ・・あれに似てる。不動明王。」

渋い例えに少し笑いが漏れる。
笑いが出たことに安心したのか、蓮が続けた。

「榛名さんと何かあった?橘も流石にその顔じゃ絡めねーよ。やり辛いから勘弁して。」

あー、と上を向く。
俺なんかより、蓮の方がずっと、主任だったり、人の上に立つのに向いていると思う。

「取り返しつかないことしたんだよ、俺・・」

聞かれていないのにボヤくように続ける。

「まじで自分死ねと思ってる。今。」

会社で常に顔が見える場所じゃ、辛いわなぁ。
そう返す言葉に、何を言ったかは聞かない蓮の気遣いを感じる。
思い出したくもない、自分の言葉。
俺は何回繰り返せば、気が済むんだろう。


あの日は旭に言われるがまま、どうする事も出来ずに帰った。

「私たち、やっぱり駄目なんだと思う。」

去り際に言われた言葉が、頭から離れない。
桐山がどうとかいう話じゃない。
これは、俺の問題だ。
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