日向はキミのもの。












私は気になりドアから顔をひょっこりと出した。



えっ・・・・・・!




廊下には一人の男の子が口元に手を当て倒れ込んでいる。



ん・・・っ?!




よく見ると倒れ込んでいる男の子はたけちゃんだった。



う、うそ!?どうして?




すると、奥にいた男の子が何やら話し始めた。





「お前だって彼女いんだろ?

呑気に俺の女に手出してんなら自分の女もっと大切にしろよ」



そうして、彼はたけちゃんの胸ぐらを掴んで
拳を高く上げた。




怖くて見れないから、ぎゅっと目をつぶったその時。





バシッ!




ゆっくり目を開けるとそこには、優希が立っていた。



えっ?何が起きてるの?



「ゆ、優希?」


「いってぇ」




たけちゃんの代わりに一撃を食らった優希の頬は
赤くなっていた。




「・・・っお前に殴るつもりなんてなかったんだけどな」



殴った男の子は頭をかきながら そう言い訳をする。




「誰であろうと殴るのは良くないよ。

言いたいことがあるなら暴力じゃなくて、言葉で言おうよ。



・・・なんか男っぽくない事言ってごめんね」





優希は男の子にそう言うと後ろにいた、たけちゃんには「お前もしっかりしろよ」と言い去っていった。





なんか胡散臭いけど、ヒーローみたい。




周りの女の子からはキャーキャー言われて
男の子から すげー って言われて
浮かれてる優希に言ってやりたい。


「忘れられないよ。」


ってね。







「つばさちん。大丈夫?」



たけちゃんが殴られているのを目の当たりにした、つばさちゃん。



もちろん大丈夫そうではなくて、目にいっぱい涙を溜めている。



「たけちゃん・・・っ」





何故こうなったのかは、ちゃんとは知らないけど。



あの男の子の発言からして、たけちゃんは浮気したのかな?




もしそうだとしたら、さっきのつばさちゃんの私への手紙は本気の相談だったんだね。



















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