かららん、ころん。
カフェ『NAGISA』のドアベルが鳴る。
あれだけやめてと言ったのに、結局そんな店名になった。

"洗練された空間でくつろぎながら自家(じか)焙煎(ばいせん)のコーヒーが飲める、都会のオアシスのような店"
"他にはないユニークなラテアートが多種多彩! 大切なひとと飲みたいカフェラテ"
グルメ情報誌やwebメディアに取り上げられて、最近来客がぐっと増えた。

かららん、ころん。
またドアベルが鳴る。たった今失恋したばかりです、いかにもそんな雰囲気をまとった若い女性が、店内を見まわしながら入ってくる。
「いらっしゃいませーっ」
彼とわたしは唱和する。
挽いたばかりのコーヒー豆の芳醇な香りが、鼻腔をふわりとくすぐった。


<おわり>

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