perverse
9 両親
宙さんとの交際が始まった・・・と思う

あのホテルの翌日から数日、宙さんは忙しいらしく軽いメッセージをくれる程度だ

やっと会えたのは、金曜日の夜車で迎えに来てくれた

助手席に乗り込んだ私に

「ごめんね。遅くなって。今日は手術で長引いて・・・・」

申し訳そうに、疲れた顔で言った

「お忙しいのに、無理して時間作ってくれてありがとうございます」

なんか業務用の言葉だな・・・なんて思っていたら

「他人行儀はよそうね。もう付き合っているんだから・・・」

って言われた

向かったのは、国道沿いのファミリーレストラン

「ごめんね。明日は夏休みを取っている人の代診で当直も入っているから1日拘束なんだ」
「お忙しいんですね」
「夏休みがあるからね。美波ちゃんはどうするの?」
「お盆だけです。親が帰ってくるんで家族で過ごして終わりかな」

何気ない雑談だったのに、宙さんは私の瞳を見つめ

「その頃にご両親に挨拶に行きたい」
「えっ・・・」
「実はうちの親に話したんだ...美波ちゃんと結婚したいって」

えっ、もう話が進んでいるんですか?
早い・・・思うのは私だけ?

「どういう返事だったんですか?」

きっと良い返事はもらえないはず・・・ドキドキする

そんな不安な気持ちが表情にでたのかもしれない

それと裏腹に、とびきりの笑顔をする宙さん

「美波ちゃんだったら歓迎だって」
「えっ…」

すごく驚いている

予想と反する答えで私の体中の細胞が反応しているのか、鳥肌が立ち眼から涙が溢れてくる
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