Vanilla
金曜日。
今日は朝永さんは遅くなるらしい。
やったと心の中でガッツポーズ。
それに夜はしー君からの癒しの電話があるからね!


「つぐみちゃん、おはよう。朝永君と今日も一緒だったね。本当に大丈夫?」

ロッカールームで会った穂香さんは今日も心配そうな目で私を見てくれている。
なんて優しい人なの、穂香さん。
じーんと胸の奥が温かくなった。

「大丈夫ですよ」

あぁ~……誰かに朝永さんの実態をぶちまけたいけれど、我慢だ。

「そっか……でも本当に酷い事をされたら言ってね?」

めちゃくちゃ酷すぎる暴言を吐かれましたと喉のすぐそこまで来ているけれど、我慢我慢……。

「はい、ありがとうございます」

私がなんとか堪えて返すと、穂香さんは私に落ち着ける安らぎの微笑をくれて少し苛々が治まった。

本当の姉みたいに心配してくれる穂香さん。
こんな心配性で頼り甲斐のあるお姉ちゃん、欲しかったなぁ。
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