Vanilla
私はロッカールームで制服に着替えるとオフィスに向かう。

制服なのは本当に助かった。
だって服は火事で全部燃えちゃったから。

準備を整えてオフィスの扉を開けるが中は誰も居ない。
まだ朝の六時半過ぎだもんね。

「ふあぁ……」

静かなオフィスに居たら眠くなってきた。
ちょっと目を瞑ろうかな……





「起きろ!つぐみー!」

「ひゃう!」


突然耳の鼓膜が破れそうな程の大音量。
私は文字通り、飛び起きた。

「おっはよ、つぐみ。ここ最近早いね」

私にニパッと笑った彼女は鼓膜を同期の大畑愛佳《おおはたあいか》。
背が私よりも十センチ高くてスラリとしているからか、ボーイッシュなショートヘアが似合う女の子。
私は内気で自分から声を掛けられるタイプではなく、学生時代も友達と呼べる人が少なかった。
そんな私に気さくに声を掛けてくれた彼女。
彼女は私と正反対なのだ。
私がこの職場で唯一友人と呼べる人間だ。
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