Vanilla
電車に一時間半揺られて私は隣の県にやって来た。
元々私はこの県に住んでいて、しー君はこの県で寮に住んでいる。
今日はサッカーのJリーグなどの公式試合がある程の大きな競技場で試合がある。

昨日雨が降っていたが止んでくれた。
空を見上げると雲の隙間から太陽が顔を出している。
晴れてくれて良かった。


「つぐみ!」

観客席からしー君をさがしていると私を呼ぶ声が久々に近くから聞こえた。
下を覗くと懐かしい笑顔。


「しー君!」

久々の生しー君。
高校の名前が入ったユニフォームの上にジャージを着たしー君が一メートル下に居る。

「クマ、酷くない?」

しー君は自分の目の下を指差した。

昨日ソファーで寝てしまった。
コンシーラーで隠したが、相当酷いようだ。

「しー君の晴れ舞台、私が緊張しちゃって」

私は誤魔化した。
変な心配を試合前に掛けたくない。

「バカだろ」

プッと笑ってくれたしー君。
こんな会話に心が和らぐ。
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