恋・愛至上命令。
それでもまだわたしは懸命に堪えてた。ひりついた痛みを押し殺して。

「・・・・・・言ってたでしょ晶さんは。わたしに、ただの自分を知ってて欲しかったって。組のことは関係ないわ。凪がどう思ったって、そんな人じゃないってわたしは知ってる」

晶さんの優しさは、そんな上っ面なものなんかじゃなかった。
言い聞かせて努めて冷静に返した。

凪はしばらく押し黙ったあと。

「・・・・・・それは私より高津を信用している、という意味ですか」

更に低く。温度すら消えた声で言った。

その言葉が耳に届いた時の。心臓をそのまま大きな鉛玉で圧し潰されたような衝撃を。どう言葉にできただろう。

わたしに。凪より大事なものなんて在るわけがないのに・・・!
そんなことすら分かってない凪に、躰中の細胞が悲鳴を上げた。
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