突然婚⁉︎ 〜きみの夫になってあげます〜
Book 2
「人の話を聴け」
「あ、あの……原さん」
わたしはとまどって周りをきょろきょろと見回した。
「あれ、井筒さんは……イタリアンはダメでしたか?」
……いやいやいや、そうではなくて。
業務の終了後、原さんと一緒に向かった先は、いかにも女の子が好みそうなイタリアンのお店だった。
カフェあたりで、せいぜいお茶でも飲みながらの話とばかり思っていたので、たじろいでしまう。
「予約してるんです……さ、どうぞ」
そう促されて、店員さんに案内された席に着く。
「あ、あの……提案、というのは」
たまたまイタリアンのお店というだけで、コーヒーなんかだけ注文すればいいか。
「そう急がないでくださいよ。
せっかくこうして二人きりで食事に来たんですから」
原さんはにっこりと笑った。
……二人きり?食事?
唖然とするわたしをよそに、原さんは「……は大丈夫ですよね?」とか言いながら、勝手にパスタだのピッツァだのをオーダーしていた。