次期社長と訳あり偽装恋愛
予想外の提案

立花課長が連れてきてくれた場所は、ベリルスターというホテル内にあるカフェレストラン『ソルジェ』。

さっき車から降りて、まさかここに?と見上げたホテル。
気後れする私をエスコートするように立花課長は慣れた様子でエントランスを抜け、ロビーラウンジを横目にエレベーターに乗った。
普通に生活していたら一生縁がないホテルだ。

「本当だったら最上階のスカイラウンジで食事しようかと思ってたんだけど、あいにく今日は予約で埋まってたみたいなんだ。ごめんね」

「いえ、とんでもないです」

慌てて首を左右に振った。
そんな最上階のスカイラウンジとか私には場違いだ。
逆に予約で埋まってくれてよかった。

エレベーターを降り、ふわふわした足取りで歩く。

このホテルには日本料理、フランス料理、中華料理、バーなどが入っている。
店舗案内の写真を見たけど、店の名前からしてどれも高級な感じがした。
今から行こうとしているカフェレストランも普段私が行くようなお店じゃないから緊張する。

それに、すれ違う人達も小綺麗な服装率が高くて、変な服じゃなくてよかったと心から思った。

ここは御曹司の御用達のホテルなのかも知れない。
やっぱり私には縁遠い場所だ。

スタッフに案内されて席につく。
メニューを渡され、何が食べたいか聞かれたけど、舞い上がってしまって立花課長にお任せすることにした。
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