次期社長と訳あり偽装恋愛

駅から歩いて十分のとろこにショッピングモールがあり、いろいろ見て回った。

ファンデーションが残り少なくなっていたので購入したり、気に入った服を試着してみたりして買い物を楽しんでいたらあっという間に時間は過ぎていた。
休憩のためベンチでコーヒーを飲んでいたら、スマホに玲奈から着信があった。

「もしもし」

『もしもし梨音!あー、出てくれてよかった。今って暇?何してるの?』

矢継ぎ早に言われ、若干戸惑いながら答える。

「今は一人で買い物してるけど」

『じゃあ、この後の予定は?』

「買い物が済んだら帰るだけだけど」

『お願い、助けて!』

焦ったように言う玲奈。
しかも助けてとか、ただ事じゃないのかも知れない。

「どうしたの?なにがあったの?助けてってどういうこと?」

『私を助けると思って、十八時に会社の最寄り駅の銅像の前に来て!』

「だから、一体何があったの?」

『今は何も聞かないで。待ってるから絶対に来てね。お願いよ、約束だからね』

「あ、玲奈っ」

ツーツーツーという機械音が流れる。
今は何も聞かないでってどういうことだろう。
一応、電話をかけ直すと留守電に繋がった。
ホントに意味が分からなくて疑問ばかりが浮かぶ。

強引に押しきられ、断ることも出来なかった。
このあとの予定がないからいいけど。

取りあえず、言われた場所に行けばいいってことか。
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