政略結婚ですがとろ甘な新婚生活が始まりました
3.見合い相手
彼の忠告に反発心を覚えて、百貨店からの帰り道、勢いで叔母にもう一度見合いを頼み込んだ。叔母は渋っていたけれど、祖母と私の両親にとりあえず話をしてみると請け合ってくれた。


それから半月ほどが経過した今日、私は人生初の見合いの日を迎えている。

あれから私は覚悟を決めて祖母と両親に隆と別れたことを話し、見合いを受ける理由を、結婚につながりそうな出会いが期待できないからだと説明した。

祖母は私が納得しているのならばそれでいいと了承していたが、両親、とりわけ母は心配していた。叔母と同様にどうやら私が彼氏と別れて自暴自棄を起こしていると思っているらしい。


見合い前日の夜、珍しく祖母から電話があった。

『今回の見合いがすべてではないよ。一緒に生きていく人はこの人だってわかる瞬間は誰にでも訪れる。それを見極める気持ちで臨んだらいい』

現実主義者の祖母らしくない言い方に、戸惑った。先方と面識があることから、私の付き添いは祖母と叔母になった。

見合い場所は、あまりに格式張った場所は遠慮したいという私の気持ちを汲んでくださった先方の配慮により、日比谷にあるホテルのティーサロンとなった。このホテルは格式も高く十分畏まっていると私には思えたが、有名料亭で着物を着て、懐石料理を個室でいただくことにならず安堵した。
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