*君に溺愛*
「やめろよ、雅。
泣いてるから………っ」


仲間の葵(あおい)がいた。

「葵、なんで…………っ」


葵は、クラス違うし。
なぜここに?

「雅、声でかすぎ。
問題になるよ」

つか、さっき泣いてるって………

チラリ、と見れば俺に掴まれたルナは、ぎゅっ、と目を瞑り、泣いていた。

俺が……………泣かせた?



「雅、離しなよ」


誰が悪いなんて、見てれば分かる。

俺が悪い………。

不意に緩む腕。 
君を離したら、少し震えて見上げたルナ。


「わ、私…………やっぱりダメ」


バタンッ…………。


君が倒れた。



な、に……………?


先に動いたのは、葵だった。

ルナの体をふわりと抱き抱え、愛しいモノを見るように見る葵の目。

それが、不意に俺を睨んだ。


「雅は、最低だね」


葵は、そう呟く様に言い教室を出ていく。

取り残された俺。
見世物の様に集まるギャラリー。

"雅は、最低だね"ーーーー

葵の言葉が、響く…………。


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