癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「ハル、大丈夫か?お前、血が出てるんだからしっかり押さえろよ」

悠生は、ポケットからハンカチを出すと遙季の左腕を押さえつけた。

「っ,,,!、悠生こそ、肩、大丈夫?」

「たいしたことない。俺はけんか慣れてるし、中学卒業するまでは怪我もしょっちゅうだったしな」

笑って肩をすくめる悠生。

遙季は、ハンカチを取り出すと、そう言う悠生の肩を縛った。

「痛っ!」

「いてっ!」

同時に呟いて、お互いに顔を見合わせ苦笑する。

「君達も病院受診が必要だな。保護者を呼ぼう。その後は一緒に警察に来てもらうからね」

警察官の声に振り返ると、一緒に来ていた医師に鎮静剤を打たれた男子生徒が救急車に搬送されるところだった。

結局、何のために遙季はあの男子生徒に絡まれたのだろう?

光琉とイチャイチャするのが気に入らないとか言っていた。

考え事をしているうちに、悠生と遙季は、パトカーで近くの救急病院に運ばれた。

幸いにも傷は筋肉まで達しておらず、洗浄して数針縫っただけで済んだ。




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