癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
警察に着くと、

毅と面識はあるか、何を言われて何をされたかを詳細に伝えるように促された。

遙季は衣類を一部破られていたため、担当となったのは女性の警察官だった。

話をするために、詳細に事件のことを振り返る作業は想像以上のダメージを遙季に与えた。

光るバタフライナイフ、金髪、にやけた顔と溶けた黒い歯,,,。

腕の痛みと滲む血。

遙季の脳裏に、その時のシーンがフラシュバックする。

「,,,あ、ああ!あー!」

頭を抱え、ガタガタと震え出す遙季を見て、警察官が遙季の母・祐子を部屋の中に入れた。

「お母さん、側にいてあげてください」

「遙季」

祐子は遙季を抱き締めた。

すぐに車椅子が準備され、遙季は医務室のベッドに寝かされた。

過換気状態になった遙季に、ゆっくり呼吸をするように医務室の看護師が促した。

その夜から、遙季は突然現れるフラッシュバックに悩まされることになったのである。

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