遙季は白い壁に囲まれた、暖かい雰囲気の外来の一室に案内された。

その部屋に座っていたのが、鈴村雅祥先生だ。

ふわふわの髪に、柔らかい表情で微笑む彼は、医者というより、歌のお兄さんといった感じだった。

「遙季ちゃん、こんにちは。僕は鈴村雅祥です。心のケアをするお医者さんだよ。痛い注射とかはしないから安心してね」

とても童顔なこのお医者さんは、私に冗談を言って笑わせようとしているのだろうか?

とても笑う気になれない遙季は、眉間に皺を寄せて雅祥を睨んだ。

「わあ、僕のこと、今、心の中でディスったでしょ?お見通しなんだからね」

言い方が少年ぽくて笑える。遙季は思わずクスッと笑っていた。

「良かった。笑えるってことは泣くこともできるんだよ。入ってきたときはとても悲しそうな顔をしてたよね。本当によく頑張ってる」

雅祥はそっと遙季の頭を撫でた。

それ以上はなにも言わずに、じっと遙季を見つめながら微笑んでいる雅祥。

その様子に得も言われぬ優しさを感じた遙季は、ボロボロと涙をこぼした。

「よしよし」

普段ならこんな子供扱い絶対に認めないのだが、なぜかその時の遙季には、すんなりと受け入れることができたのだ。


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