午後の仕事も終わり、帰宅時間となった。

遙季の午後の仕事は、内科病棟のガンの患者さんの話を聞いたり、カウンセリングをすることもある。

あとは、放課後に訪れる生徒や児童の思春期外来だ。

症例によっては残業になることもあるが、今日は定時に終わった。

「お疲れ様でしたー」

遙季はタイムカードを押し、守衛に挨拶をして職員用の玄関を通過した。

「遙季、もう帰るのか?」

また光琉だ。さっきまで光琉狙いの看護師と話をしていたはずた。

その隙を狙って出たのに、今日は特にしつこい。

「光琉、いい加減にしてくれないかな」

「俺は帰るのか、と聞いただけだけど」

爽やかに微笑む光琉はあざとい。何か企んでいるときの顔だ。

「そうですか。では八代先生、さようなら」

遙季は、ニッコリ笑顔で光琉にお辞儀をすると、足早に正門を出た。

今日は花の金曜日。ようやく光琉の顔を見なくてすむ。

遙季は、大学院を卒業後、実家に戻らず職員寮で独り暮らしをしている。

臨床心理士の給料は決して高いとはいえない。実家暮らしの方が経済的だか、病院からは遠いのだ。

部屋番号は光琉には教えていない。

男女共用のマンション型の寮だか、光琉に出入りされては目立つのは必須だ。あり得ない。

゛早く逃げきらないと゛

遙季は、背後にぴったりとついてくる光琉を感じていたが無視して歩き続けた。

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