癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
「君は、遙季ちゃんのことが好きなの?」

「はい、とても」

雅祥は、光琉を診察室に案内し、椅子に腰かけるように言った。

「遙季ちゃんは遙季ちゃんなりにあの事件を乗り越えようとしてきた。君との距離感も保ちながら、お互いにベストな方法で先に進もうと考えている」

光琉は黙って雅祥の言葉を聞いた。

「それが例え、君にとって不本意な結果だとしてもね」

雅祥は、にっこりと笑って

「僕が遙季ちゃんの隠していることをばらすわけにはいかない。だから、賭けをしないか?」

と呟いた。

「賭け,,,ですか?」

「そう。伸るか反るかは君次第。君が勝って得るのは遙季ちゃん、負けて失うのも、遙季ちゃんだ」

そんな賭けをする意味はない。しかし何か意図があるのだろうと、光琉は雅祥を見つめた。

「M大医学部や病院には、僕の先輩や後輩、教え子がたくさんいるんだよね。君に彼女や遊び相手ができれば、僕はすぐにその事を遙季ちゃんに教える。それだけで、彼女はきっと自分にも彼氏を作るはずだよ。実際、遙季ちゃん、そう言ってたし、心から君の幸せを祈ってるそうだ」

光琉は目を見開いた。

「君も離れている間、遙季ちゃんを見張るつもりなんだろう?お互い様じゃないか。本当にお互いが好きなのかどうか、確認するいい機会だ。縛り合っているわけではない。確認するだけだ。君が遙季ちゃんを誘惑するのはもちろんフリーだよ」

雅祥は、伸びをして呑気に欠伸をした。

「お互いに相手が出来たり、遊びに走れば本気じゃない証拠。そこでゲームオーバーだ。分かりやすくて、本当に,,,気が遠くなるね」

遙季が資格を取るまで最低でも6年。地元に帰ってこなければさらに数年,,,。

「,,,わかりました。ついでにもうひとつ約束してくださいませんか?遙季がここに就職した暁には、俺もここに就職させてくれると」

雅祥は驚いて、でも嬉しそうに言った。

「いいよ。でも、救急2年まわってからね」

さらに、光琉の後期研修期間、2年が追加されて、8年に,,,なった。

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