癒しの魔法使い~策士なインテリ眼鏡とツンデレ娘の攻防戦~
かけ違えたボタン
「雪村さん、もう少し話を,,,。」

努の声を遮るように、コンビニに男女の二人のカップルが入ってくるのが見えた。光琉と若菜だ。

遙季は、光琉と目が合うと、すぐに目をそらし二人の脇を通り抜けてコンビニの外に出た。

「雪村さん!」

「遙季!」

遙季はコンビニの駐車場の端まで行くと、追いかけてきた3人を振り返った。

「八代先生、加藤さんから聞きました。若菜さんとお付き合いされてるそうですね。私をからかって楽しかったですか?」

「雪村さん、聞いて、違うの,,, 」

「はっ!この期に及んで言い訳する気ですか?中村さんは相当な悪女ですね。私を笑って楽しかったですか?」

遙季が睨み付けると、若菜は俯いて黙りこんでしまった。

「謝るふりをして、陰で笑ってるなんて、最低」

「違う!最低なのは若菜じゃない!八代だ。若菜を責めるな!」

「あら、加藤さんも彼女を庇うの?私のことを好きって言っておいて、幼なじみを庇うなんて、私とんだ食わせ犬ですね」

「それは,,,」

「いいですよ、別に。私は八代先生も中村さんも軽蔑してますし、なんなら今からでも弁護士をたてて慰謝料請求したっていい。それともSNSで高校の同窓会グループにあの事件をリークしても,,,」

スマホを手に、メッセージアブリを立ち上げようとする遙季に飛びかかろうとする加藤が横目に入った。

「やめろ!若菜を傷つける奴は俺が許さない」

スマホを遙季から取り上げようとして叫んだ加藤を遮ったのは、それまで黙ってみていた光琉だった。


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