【最愛婚シリーズ】クールな御曹司の過剰な求愛
「今週の日曜日。十一時に」

「へ?」

手の中にあるのは、水族館のチケットだ。

「俺の分のチケットも君に預けておくから、ちゃんと来て」

「え、でもそんな。困ります――」

「時間いいの?」

 反論しようとしたわたしだったけれど、神永さんが玄関にある置時計を指さすのを見て、今は時間がないことを思い出した。

「あの、この話はあとで。とにかくお薬ちゃんと飲んでくださいね」

 とりあえずわたしはそのチケットをポケットに突っ込み、部屋を飛び出したのだった。
< 84 / 138 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop