Take me out~私を籠から出すのは強引部長?~
橋川くんも高鷹部長の名前呼びが羨ましいって、私を名前で呼ぶようになったし。
それに倣ったわけじゃないけど、ここではみんな、私のことを名前で呼ぶ。
さすがに、呼び捨ては高鷹部長だけだけど。

「打ち合わせ兼ねてるときは行きたいんだけどなー」

誘っても毎回断られるのがわかっていながら、みんな私を食事に誘ってくれる。
あの歓迎会の一件で私の立場を理解してくれているからきっと、いつか私が行くって言えるようになるのを願って、待っていてくれるんだと思う。

はぁーっ、再び自分の口から重いため息が落ちて、苦笑いしかできない。
気を取り直して入力を再開しようとした、が。

「ため息ばかりついていると、幸せが逃げるぞ」

「うわっ」

いつの間にか高鷹部長が、顔をくっつけるようにしてディスプレイを見ていた。
ちなみに彼は酷く目が悪く、眼鏡をかけていてもついつい至近距離で見てしまう癖がある。

「だいぶましになったな」
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