乾燥した空気で水を欲するが、昨日の兄が頭をよぎり、ドアを開けることはできなかった、


 ”お前だけが自由になるなんて......許さない”



 それは兄も窮屈さを感じているということなのだろうか。

 私よりも縛る力が強いのかもしれない。将来を約束された重さと責任は、私よりもはるかに負担になるはずだ。

 でもあの優秀な兄がそんなことを考えているとは思わなかった。そんな重荷すら感じないほどに、自信のある人だと疑わなかった。

 それなら考えていることは同じなのに、どうして敵意を向けてくるのだろう?

 向き合い手だては無いのか模索しようとするが、顔を合わせたらまた昨日のようなことを、いやそれよりももっと酷いことをされるかもしれない。

 そんな想像で埋め尽くされて、体が動かなかった。

「瑠美様、おはようございます。朝食の用意ができました」

 いつもの通りに橋本がノックをして声をかける。

 普段はダイニングで食べるが、この唯一の防御壁のドアを開けたくない。

「兄様はいらっしゃいますか?」

 何かあるのか聞かれそうだが、確かめずにはいられなかった。

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