君と二人の201号室
お母さんとお父さん


そして翌日。

一日しか経ってないのに、ついにこの日がやって来てしまったか…なんて思ったけど、よくよく考えたら、約束とかもしてないし、会えるかすらわからないんだ。

…計画性ないな、私。


我ながら、自分の雑さに呆れてしまう。

でも、やっぱりどこか怖い気持ちもあるから、会わないならそれでいい気も………って、ダメダメ!決心したんだから、しっかりしろ!私!


とりあえず、いつも通り拓海さんを起こして、心を落ち着けさせよう。そうしよう。そこまで焦ってるわけではないけど。



「拓海さん、おはようございます!」

「ん、おはよう。ところで今日、お母さんと会う約束……は、してないと思うけど、今度来る…とか言ってたの?」

「うっ…」



痛いところを突かれる、とはこのこと。

…意外に結構、グサッときた気がする。



「それが……ノープランで…」

「まぁ、本当にお母さんが伝えたいことあるなら、もう一回来るか、連絡あるんじゃない?少なくとも、ここの場所は知ってるんだから」

「…ですよね」



拓海さんにそう言ってもらって、すっかり安心してる。

どうしようもないくらい大きい、心の安定剤。



「あの、拓海さん、聞きたいことがあるんですけど…」

「何?」

「私の…親の借金、拓海さん返したりしてないですよね?数年前からなんですけど、なんだか私以外にもお金振り込んでる人がいるみたいで…」

「俺じゃないよ。けど、不思議だね」

「はい」



いや、「不思議」で片付けていいのかな…。



「で、菜帆。おはようのチューは?」

「な……っ」

「まぁ、菜帆からしてくれるのは滅多にないか。じゃ、いいや」

「え…」



…別に、その……したくなかったわけではない。

ただ、いきなりだからびっくりしただけ。




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