『One more Love♡』
>>1 突然の別れ…そして新たな生活
それは,結婚式を,2週間後に控えた日の家の玄関前でイキナリ起きた出来事だった……。

「……えっ……い,今…何て言ったの?」
「……だから,奏(カナデ)くんとの赤ちゃんが,アタシのお腹の中に居る…って言ったの。」
「じ,冗談…だよね…?か,奏との赤ちゃんって…。」
「冗談でこんな事言わないって…。」
「だって奏は,あたしの婚約者で,2週間後には,結婚式だって控えてるだよっ!?」

あたしは,頭の中が真っ白になりながらも,必死に平常心を保っていた。

「だから,今後の事で,話し合いたいんじゃない。」
「とにかく,こんな玄関の入口で込み入った話は,近所迷惑だし,ののの身体にも良くないから,みんな中に入りなさい。」
「……お母さん…な…んで…そんなに平然として居られるの?お姉ちゃんは,あたしの婚約者である奏の赤ちゃんを身篭った。って言ったんだよ?何で…そんなに平然としてられるの?」

あたしは,平然とするお母さんに問い詰めた。

「…そ,それは…」
「……まさか…知ってたの?」
「えっと…」

バツ悪そうに口篭るお母さんに,問ただす様に問い詰めると,

「……みんな俺が悪いんだよ。義母さんも,ののちゃんも悪くないっ。俺が悪いんだ…」

っと,イキナリ婚約者の奏が口を挟み,あたしに向かって頭を下げてきた。

「ごめん,心,ホントごめん…」
「………謝って済む問題なの?結婚式,2週間後に控えてるんだよっ?」

あたしは,涙を堪えながら奏でに聞いた。

「そ,それは…」
「いいかげんにしないかっ。とにかく家に入りなさい。近所迷惑になるだろ。今後の事は,家に入って話合おう。いいな,心。それに,野夏(ノノカ)に奏くんも。」

っと,仕事から早退して来たであろうお父さんが,後ろから叫ぶ。

「今後の事についての話し合いって何?ってか,お父さんも知ってたわけ?」
「………」
「答えれないって事は,知ってた…って事だよね。……何なの?当事者であるあたしだけ知らなかった…ってわけ?みんなサイッテー!!」

あたしがそう叫ぶと,その間にお姉ちゃんと奏は,先に部屋に入って行ったのか,その場には居なかった。そんな中,『パンっ』っとあたしは,頬を叩かれた。

「…っ…なっ…」
「近所迷惑になるって言っただろ?心も,のののお腹に新しい命が宿ってるんだ…少しは,大人にならないかっ。冷静に考えたら,どうするべきか…分かるだろっ?」

お父さんは,そう言うと先に部屋へと入って行った…。

「……何なの…結局は,お父さんもお母さんも…お姉ちゃんの味方をするんだ…。もぅいいっ!!もぅ二度と顔も見たくないし,声も聞きたくないんだからっ!!」

そう叫ぶと,カバンの中にしまっていたスマホを取り出し,おもいっきり地面に叩き付け,あたしはその場から走り去った。
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