夢原夫婦のヒミツ
夢原夫婦の出会い
ある日の休日。十一時半頃。向かった先は駅近くにあるチェーンレストラン。

休日のお昼時ということもあって、店内は家族連れを中心に賑わっていた。

店内をキョロキョロ見回していると、私に気づいた彼女が呼んでくれた。

「愛実、こっちこっち」

声のした方を見ると、久しぶりに会うふたりの姿が。

「ごめん、遅くなっちゃって」

私が腰を下ろした隣の席にいるのが、小学校からの幼なじみ、並木蘭(なみき らん)。

ショートカットが似合う可愛らしい子で、とてもサバサバした性格。そしてちょっぴり……いや、かなり鈍感だ。一般企業の事務員として働いている。

「ううん、私と佐介(さすけ)が早く来すぎちゃっただけだから。ね、佐介」

「あぁ」

蘭に言われて目の前に座っていて頷くのは、斎藤(さいとう)佐介。蘭と同じく同い年の幼なじみ。

優しくて世話好きで、頼りになるお兄ちゃんタイプ。大手銀行で働くエリートだ。
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