お見合い相手はエリート同期
9.剥がれ落ちたメッキ

「朱音ってさ。
 やっぱり馬鹿なの?」

 先を行く澤口が振り返ってそう言うから見上げると呆れた視線を向けられていた。

 そうよ。
 こいつはそういう奴。

 黙っていると驚く言葉を重ねられた。

「指輪。」

「え?」

「指輪でも渡しておこうか。」

「……な、んのために?」

「首輪代わり。誰のかって分かるように。」

 それって実質的に婚約指輪?

 私の心を読んだように澤口は続けた。

「虫除け。必要そうだから。
 それに朱音自身にも誰のものか自覚を促した方が良さそうだから。」

 心を見透かされているみたいな視線を向けられて思わず目を逸らした。

 岡本課長への想いは誰にも話したことないのに、そんなことでさえ澤口は知ってるとでも言うの?

 知世に言われた『どこに落ちているか分からない出会い』
 正直、思い浮かんだのは岡本課長だった。

 澤口と社内なのに見合いを進めるくらいなら。
 岡本課長との社内恋愛を成就させてもいいんじゃないかって。

 タイミングよく降って湧いた岡本課長からの誘い。

 私は…………。

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