君が夢から覚めるまで
9.花弁
それからの怜は入学式やら準備で忙しく、また香帆も家庭教師を辞めたのでカフェのバイトのシフトを増やしたりして、お互い忙しくゆっくり会う時間がなかった。
だけど毎日電話して、毎日メールして…そんな時間も楽しくて仕方なかった。
やっと二人の休みが合い、念願のデート。
「明日、桜見に行かない?」
『まだ咲いてるところあるの?』
「うん、俺スゲーいいとこ見つけたからさ」
『本当⁉︎行きたい、行きたい‼︎私、お弁当作ろっかな〜』
お弁当という言葉に思わず感極まってしまった。
『あ…張り切り過ぎ?』
「ううん、作って来て。楽しみにしてる」
香帆の手作り弁当が食べれると思うと天にも昇る気分だった。
その夜、興奮してなかなか眠れなかった。

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