二日後の見合いは瞬く間に訪れた。

結婚は一生しないと誓っていた千花は、見合い当日を迎えてもなお、実感が沸かずにいる。
でもそれも無理もないことだろう。なにしろ数日前には、これっぽっちも考えないことだったのだから。

(まさか私がお見合いするなんて……。でも、気に入らない相手だったら断ればいいんだから、気負わずにいくしかない、か)

そもそも相手の小児外科医も、千花と同じような気持ちだろう。親に言われてしぶしぶ。
もしかすると千花が断る以前に、あちらから〝このお話はなかったことに〟と言われる確率の方が高いのではないか。いや、そうに決まっている。きっとそうだろう。

千花は庶民の代表のような小さな弁当屋の娘。彼からしてみれば、千花は身のほど知らず。〝見合いの席に足を運んで来ただけでもありがたく思え〟的な態度を取られても文句は言えない。

とはいえ、わざわざ日本経済の格差を知るためだけに見合いに臨むのかと思うと、千花はちょっぴりやるせない気持ちにもなった。


「ちょっ、お母さん、苦しい……!」


美幸の手がじりじりと千花の着物の帯を締め上げていく。

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