年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。
夕食はホテルの和食レストランで食べ、お酒は部屋へ上がって飲もうということになった。

部屋に入ると、朝には乱れていたシーツがきちんと整えられている。
タオルやバスタオルも新しい物に取り替えられていて、清潔な状態に設えられてあった。


昨夜も今朝も気づかなかったけれど、この部屋やっぱり結構値段が高いんじゃないだろうか。

見回してみるとかなり広いし、一泊辺り幾らくらいするんだろう…と調度品類を見つめ、ジャケットを脱ぎ、リラックスモードに入ろうとしている輝を振り返った。



「…ねぇ、輝」


宿泊代金を折半しない?と言おうかと思ったんだが、ん?と顔を見返す彼を前にすると、何だか言い出しにくい。

彼にもプライドというものがあるだろうし、そもそも毎年出して貰うのに、どうして今年だけ?と問われても困る。
だから声にならず、…かと言って、朝聞いた話を彼に訊くことも出来ずに口籠った。


「なんだ?どうした?」


微笑みながら手を伸ばしてくる彼の腕の中に収まる。
優しくきゅうっと抱き締められると胸の奥がいっぱいになり、泣きそうな気配がするくらい落ち着く。


「何でもない…」


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