年下御曹司の、甘い提案が聞きたくて。

ソファに座るよう勧められ、覚悟を決めて顔を上げつつ相手の顔を視界に入れる。

明るいオレンジカラーのソファに身を預けた相手は和かな笑みを浮かべていて、その背の高さや彫りの深い顔立ちが、何処となく輝に似ている…と思わせた。


「小島さん？」


ソファに掛けると語尾を上げて私かどうかを再確認してくる。私は頷きながら相手を見つめ返し、小声で「初めまして」と挨拶した。


「ああ、そうでしたね。初めましてだ」


挨拶をしていなかった…と気さくに笑いかけてくる相手。
その雰囲気は柔らかくて、もっとおっかない人なのかと身構えていたけれど、そうでもないのかも…と少しだけ安堵した。


「急に呼び出して驚かれただろうと思います。私は筒井輝の父親で、都築光太郎（つづき こうたろう）と申します」


よろしくお願いします…と名刺を差し出され、その文字を確認して手の中に収める。

輝の父親だとはっきり名乗った相手は私を見定めると、飲み物でも頼みませんか？と言ってきたが、こっちはそんな気分にもなれず、いいえ…と頭を横に振って断った。


「そうですか」