嘘の続きは

出会い

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「朋花、一緒にご飯食べに行こ」

真紀から誘いが来て私は即オッケーした。
あれから真紀は西さんと入籍を済ませ西さんのマンションで一緒に暮らしている。

結婚式と披露宴はこれからだ。
なにせ大物二人の結婚はいろいろな根まわしが必要で、式も披露宴もしませんというわけにはいかなかったらしい。
そんなところにも自由がない。真紀の意思とは別な場所で話が進んでいくのが可哀想だと思う。

そんな状況でも「隼人さんと結婚したいっていう私の意志はきちんと認められている」と言い切ることができる真紀はすごい。
ま、その分プライベートは少し我儘で自分勝手なんだけど。


約束の店に着くと、早めに来たはずなのに既に事務所の社長である山崎清美さんが来ていた。

「ご無沙汰してます」
山崎社長は何とも威厳のある美魔女でそろそろアラフィフのはずだけど、全然そうは見えない。

先代社長が彼女の父親で真紀をこの世界にスカウトした人だった。
彼女は父親が体調を悪くして早めにリタイヤした後を継いでから事務所をどんどん大きくした凄腕経営者だ。

彼女がスカウトして育てた俳優が何人もいて今ではそれなりのポジションを得ている。
人材を使い捨てることなく育てているという話も聞く。
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