秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています
1.再会

松岡友里、二十五歳。私の朝は早い。

 ピピピ、と鳴りはじめの目覚ましをストップさせて、スマホの時計を見て現在時刻を確認する。

――五時半か。もう起きなくちゃ……。

 目を閉じてすぐに眠ったのに、次の瞬間にはもう朝だ。まだまだ寝ていたいけれど、そうはいかない。

 寝返りをうった瞬間、何かに当たる。何だろう、と目を覚ますと目の前に小さな足の裏が見えた。

「ううん……ママ……」

 樹里(じゅり)か。どうやら寝ている間に反転してしまったらしい。このままの体勢で寝かせていいものか悩んだ末、もとの位置に戻してあげることにした。

 温かくて小さな体を抱いて、ゆっくりと枕の上に頭を乗せる。
その間も目を覚ますことなく、樹里はすやすやと寝息をたて続けている。

「可愛い」

 ぷにぷにのほっぺたと、閉じられたまぶた。小さな鼻も口も全部が愛らしい。

ようやく髪が伸びてきて少しくくれるようになったと喜んでいた柔らかな黒髪。その全てが愛おしくていつまででも見ていられる。

 樹里は4歳になる、私の娘。

 彼女の父親はいない。……いないことはないのだけど、いろいろとあって相手には妊娠を知らせず、私一人で産んで育てている。

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