秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

それがいつになるかは分からないけれど、これ以上気持ちを加速させてはならない。距離をおかなければ、取り返しのつかないことになってしまう……。

 直樹の傍にいられなくなるのは辛いけれど、彼のお母さんの悲痛なお願いを思い出すと、自分の気持ちを優先することができない。
 私が身を引くことが、最善の策だと思う。

 しばらく私たちは付き合いを続けたけれど、少しずつ距離をあけるように心がけた。
会う日数を減らしたり、メールの返信を遅らせたり。

 でも直樹は積極的に会いにくる。連絡が来なくても「忙しいんだね」と咎めてこない。
 それなら別の形で一緒にいれる時間を作ろうと努力してくれる。

 私が離れようとしても、優しく理解を示してくれて、その中で一緒にいられるように歩み寄ってくれる。
そんな優しさを見るたび、もっと好きになっていく。

 一緒にいるとダメだ。彼に流されて、愛されていることに溺れて理性が崩れてしまう。

一緒にいたい。でもこの先はない。

 その狭間で揺れながら、直樹に愛されていることから抜け出せなくなっていった。
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