秘密の出産が発覚したら、クールな御曹司に赤ちゃんごと愛されています

「松岡さんとお母さんと友里と赤ちゃん。四人で新しい家族になろう」

 産む条件として、出産してしばらくは四人で住むこと。その後大学をちゃんと卒業して、就職をして、子どもと共に自立した生活をすること。

 それが守れるのなら、未婚の母として生きる娘のことを応援してくれると約束してくれた。

「ありがとう」

 そうして私は椎名友里から、松岡友里になることになった。


 それから――
 生まれたのは女の子で、名前は樹里と名付けた。直樹の樹と友里の里。
安易だと思われるかもしれないけれど、父親がちゃんといたことを証明したくて、直樹の字をもらうことにした。

 お父さんがいなくても、幸せにしてあげるから……。

 すやすやと眠る小さな樹里を抱き締めて、何度もそう思う。私には樹里を守る責任がある。樹里がいるから頑張れる。

 だけど。
直樹に会いたくて、寂しくて、たまらないときがある。樹里の可愛い仕草を見たときや、初めて何かできたときに、真っ先に直樹に言いたいと思う。

あなたと私の娘はこんなに可愛いんだよ。
愛おしい気持ちが溢れて、幸せな気持ちにしてくれる存在を、直樹と分かち合いたい。

 でももう振り返らない。私は前だけを向いて歩いていく。樹里とともに。


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