マリッジリング〜絶対に、渡さない〜
プロローグ


誰だって、そんなのどこか他人事で。

きっと、リアルに自分の身に起こるなんて想像もしていない。

次々と世間を賑わせていたワイドショーの不倫ネタ。
私だっていつもそれを呆れながら見ていた。

そんなくだらない男と結婚しなくて良かったと。
夫の寝顔を見ながら、この人と結婚して良かったと、心の底から思っていた。


信じていたから。

不倫なんて。
サレ妻なんて。

自分には縁のないものだと信じきっていたから。


だからこそ私は…

あの日あの瞬間、底の見えない深い深い暗闇に突き落とされたんだ。

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