時には優しく…微笑みを
焼失
「どいてください!危ないですから、離れてください!」

目の前に、消防車が何台も来ていた。
遠くでサイレンがけたたましく鳴り響いていた。

周りに、野次馬、カメラを担いだテレビ局の人間が騒がしさを増長させていた。

「下がって下さい」

制服を着た警察官に行く手を阻まれた。

「私の部屋が燃えてるんですっ!全部中にあるのにっ!」

腕で押し戻された。

「まだ消化活動中です。危険です!」

膝から崩れた。

私の目の前で、全てが燃えていった。


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