時には優しく…微笑みを
動き出した思い
「そう言えば櫻井、住む所どうしたんだ?諒太が見つけた所に決めたのか?」

「え、あ、まだ返事してないんです…」

そうだ、諒太さんにも何も言ってないんだった。早く答え出さなきゃいけないのに…

「櫻井、前に住んでいた所に戻る気はないのか?新しく建て直すって話だろ?戻ってきてくれる人には、優遇するって話じゃないか。それもありじゃないのか?」

「……そう、なんですけど。期間が長いじゃないですか…。だから適当な所を見つけようとしてるんですけど…」

「それなら、ここにいればいいじゃないか?嫌か?ルームシェアしてると思えば気が楽だろ?」

「え?あの、課長…そ、それは…」

「よく考えて答えを出したらいいから」

頷いてみたものの、本当にそれでいいのか…
また私は頭を抱えてしまった。

課長と話をした後、部屋に戻ると諒太さんから着信があった。

「もしもし…」

「朋香ちゃん?今いいかな?」

「は、はい。私も連絡しようと思ってたんです」

「あ、この間の物件の話?まだ返事大丈夫だよ。今週いっぱいで答え出したらいいよ」

「すみません。ありがとうございます」

姿は見えないのに、私は電話の向こうにいる諒太さんに頭を下げていた。
さっき、課長から言われた事も含めて部屋の事を考えよう。
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