わたしの愛した知らないあなた 〜You don’t know me,but I know you〜

4.

「で、結局、美園が行ったのか?」

「うん、その方がいいと思って」

そう、一花は助手席で小さくなりながら頷いた。

そこまで寒くないだろうにと思いながら、鬼塚は車の暖房を入れる。

一花はあの後仕事に戻り、鬼塚はいつもと違って残業せずに仕事を切り上げて、帰宅しようとしてた一花を捕まえ自宅まで車で送り届ける最中だった。

「それより、すみません。送ってもらって。なんか心配ばっかかけちゃってますね」

「それはいいけどよ。お前のためだけじゃないし」

それは本当だ。一花はそうなんだ、と言って小さく笑った。

「しかし、行かないのか、本当に?」

「うん。行ってもなんの役にも立てないもの。周りに迷惑かけちゃうだけで。下手したら榛瑠本人になんで来たんだって怒られちゃう」

「まあ、嶋さんあたりは、行かないでいてくれたほうがほっとするだろうがなあ」

でも、お前はそれでいいのかよ、という言葉を鬼塚は飲み込んだ。

「それに、お父様にもこっちにいなさいって言われちゃったし」

「社長と電話ごしでも直接話せてよかったな。大丈夫だって?」

「うん。他のみんなも大丈夫みたい。榛瑠だけ。でもひどい怪我をしてるわけじゃないって」

「……そうか」

二人の会話が途切れた。つきっぱなしのラジオから若い女の子が歌う明るい曲が流れている。

「でも、正直、ちょっと反省しました」

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