最愛宣言~クールな社長はウブな秘書を愛しすぎている~
冷酷社長の秘密

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 京都の老舗から取り寄せた極上の煎茶をいつも以上に丁寧に淹れて持っていくと、社長室の応接セットではこれまたいつも以上に難しい顔の社長がお父様……上條ケミカルの真彦社長と向かい合っていた。
 
 真彦社長も威厳が漂う険しい表情をしていらっしゃるのが常だし、この二人が揃っているときに和やかなムードが漂っているのを見たことがない。自宅で家族として接しているときはまた違うのかもしれないけれど、あまり安らげる家ではなさそうだな、と思う。

 茶托を置いた時にぎろり、と見つめられて、咄嗟に微笑む。別に睨まれたわけではないんだろうけど、真彦社長の視線は鋭すぎて、いつも品定めされている気分になる。退室して一気に力が抜けた。あー緊張した。

 役目を終えた私は早速自分のデスクに戻る。少し前までのデスクとは違って、そこには仕事が山積みだ。

 二日間しっかり休んで、社長は完璧な体調で出社してくると、すぐに私の目の前にドサリ、ドサリとファイルを積み上げた。

「これ、全部データ化して。今日中に」

 涼しい顔で置いて行ったファイルは普通に処理すれば二日はかかりそうな量で、試されているなとすぐにわかった。それでも、試してみようかと思ってもらえただけ前進だ。下手したらクビになりかねないような暴言を吐いたのが逆に良かったんだろうか。
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