ずっと一緒だよ。

出会いの太陽

side葵
「お...おもい。」
理科の先生から頼まれた資料を運ぶのはいいものの同じ係の子が急に早退することになるとは。
ダンボール1箱でも35人分の資料が入ってるとなるとかなり重たい。身長の低い私は前の障害物が見えない。慎重にゆっくりと運ばないと。
1段1段ゆっくりと階段をのぼっている時、
ズルッ
ドッン
あしを踏み外し資料をばらまいてしまった。
「いったぁー」
あまりの反動と痛みに涙が出そうになる。
汚れた裾を払い資料を拾ってると
「大丈夫?」
目の前にいたのは少し長めの前髪を流し高身長の男子生徒。その胸には生徒会長メンバーのみが付けている金バッチが着いていた。
「あっ、ありがとうございます。」
「これ、1人で運んでたの?」
「はい、でも足を踏み外しちゃって。」
「手伝うよ。」
そう言って資料拾い軽々とダンボールを持ってくれた。
「あ、私が運びます!」
「また転んじゃうと大変だし、女の子にこんな重いもの持たせられないよ。」
窓から入る太陽の光に照らされた彼の笑顔はとても輝いていた。
そのまま教室まで運んでくれた彼は
「じゃあこれで、」
「ありがとうございましたっ!」
いってしまう。このまま会えなくなってしまうかもしれない。考えるまもなく私は彼を引き止めていた
「あのっ、お...お名前聞いてもいいですか?」
急な質問に驚きつつもからは優しい笑顔で
「2年の一条司です。」
「わっ、私は百瀬葵といいます!1年です!」
「ももせあおいちゃん?」
確かめるように呼ばれた名前に胸の鼓動がとまらない。いきなり名前を名乗るなんて。聞かれた訳でもないのに。恥ずかしさで逃げ出したい私は先輩に頭をさげそのまま教室へ向かった。
先輩の言葉が何度も何度も頭でリピートしては胸が痛い。
「...あおいっ...葵ってばっ!」
美琴の声で我に返る。
「み...みこと?なに?」
「何じゃないよ!熱でもあるの?すっごく顔が赤いよ??」
「!?」
自分の手を頬にあててみる。
「つ...つめたい...」
自分がこんなにも熱を持っていたなんて。
「熱のせいなのかな…?」
「なにが?」
「さっきからね、胸が痛いの。」
「えっ!?葵大丈夫?保健室いく?」
慌てている美琴の頭に拳があたる。
トン。
「葵が熱ある時は死ぬかもとか言い出す時だろ。」
ばかにしたように律が言う。
「そんなに大袈裟じゃないもん!」
「嘘つけ、この前だって風邪ひいた時もう死ぬかもしれないとか言ってたじゃねーかよ!」
「あれはほんとに死にそうだったんだもん!」
律と言い合ってると昼練終わりの崚が律に理科の宿題をねだりにきた。
「おまえきのう自力でやるっていったよな?」
「やっぱ、律様に見せてもらわないとぉ!」
「ポテトおごりな、」
「えぇ!俺いま、金欠ー!!」
「私はアイスがいいー!」
「えっ、美琴にもおごんの??」
「じゃあ、私はクレープがいい!!」
「えっ?葵までー!?」
いつの間にか今日の帰りに寄り道する所まで決まった。やっぱ、たのしいなぁ。
あれ??いつの間にか胸が痛いのが無くなってる。
なんだったんだろ。まぁ、きにしなくていいよね。
「葵、どうかした?やっぱ体調悪い?」
「えっ!?葵体調わるいの?」
心配にそうに顔を覗いている崚。やっぱ優しいなぁと思いながら、
「ううん。もう大丈夫!」
「そっかぁ!」
安心したように笑う美琴。
「体調悪くなったら言えよ??」
いつも気にかけてくれる崚。
「だから言っただろ?大丈夫だって。」
ほんとは心配してくれてた律。
「放課後たのしみだね!!」
私は笑顔で応えた。
〈放課後〉
「葵!いこ!」
「うん!」
校舎を出ると太陽が優しい輝いてた。
一条先輩は、今何してるのかな?
太陽をみると先輩のことを思い出してしまった。
あれ?
トクンッドクン
胸がドキドキする。
「葵ー?いくよー?」
「はやくー!」
「早く来ないとお前の好きなアイス売り切れるぞ」
「まっ、まってー!」
駆け足でみんなの元へいく。
この胸の鼓動の意味に気づくのはまだ少し先の話。
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