フルール・マリエ
ソルシエール


淡い新緑を透けて溢れ落ちた日の光が壁一面ガラス張りの窓を通って店内を心地良い暖さで照らす。

開店の準備が進む店内で、ガラス張りの窓の前に立つ男女のマネキンの衣装を整えていた。

男性の衣装は春の訪れにぴったりな爽やかな真っ白なタキシード。

女性の衣装は僅かに色の濃さが違う淡いピンク色を数種類重ねたプリンセスラインのウェディングドレス。

腰のあたりから裾まで舞い散るように濃いピンクや赤色の小花が散りばめられた、春らしいドレス。

二体のマネキンは寄り添って窓の外を眺めるような形でセットしているので、まずは少し離れてから後ろ姿をチェックし、次に店の外に一度出て、外からマネキンの衣装をチェックする。

この窓はお客様が店内を訪れる際に必ず通る場所。

お店の顔と言ってもいい、重要な役割を果たしているのが、このマネキンが着用する衣装。

衣装のコーディネート変更は今日のような季節の変わり目に加えて、クリスマスやバレンタインなどのイベントごとに合わせて行う。

お客様がこの衣装を見て、これから自身も変身することにわくわくしてもらいたい、楽しんでもらいたい、という思いで衣装を考えている。


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