悪役令嬢の妹は自称病弱なネガティブクソヒロイン
グロリアの家庭教師
お母様が領地へ旅立った。
勿論、素直に言うことを聞いてくれる人ではありません。
そんな人なら私達が被る苦労もストレスももう少しぐらい軽減されても良かったでしょう。
実際は私への悪口やグロリアへの心配などをぎゃあぎゃあ喚きながらお父様に命じられた忠実な使用人がお母様を無理やり馬車に押し込んで領地へ行くことになった。
そのことがよほどショックだったのかグロリアは食事も部屋でするようになった。
同じ屋根の下に暮らしているのだが滅多に、いや全く顔を見ることがない。
「ようこそいらっしゃいました、カーネル先生」
さて、グロリアは部屋にずっと閉じこもったままだが今日からはそうはいきません。
グロリアの家庭教師をしてくれるカーネル・マグダリア先生が我が家に来てくれました。
直角三角形のような眼鏡が特徴的
ワイン色の派手な髪は一つに結い上げ、紺色の地味なドレスを着ているが、髪のおかげで彼女が着ると地味にならない。
少々狐顔ではあるが、まぁ、厳しい先生の方がグロリアの為になるだろう。
「ラインネット伯爵家の長女セシルと申します。
生憎父は仕事で、変わって私が先生のご案内さをさせて頂きます」
「お初にお目にかかるざます、セシル嬢。
お噂はかねがねざます。さすがはラインネット伯爵家、躾が行き届いているざますね」
「・・・・・・」
ざます?
「妹の部屋へご案内します」
「私が来たからにはもう心配いらないざます。
見事、立派な淑女にして差し上げるざます」
「・・・・・ざます」
どういう伝手で探して来たのかは知らないがおかしな言葉遣いをする人のようだ。
まぁ、父が選んだのだから悪い人ではないのだろう。
「こちらが妹の部屋になります」
私はグロリアの部屋をノックしたが相変わらず返事がない。
「入るわよ、グロリア」
本来なら返事を待ってからだが、ない返事を待っても仕方がないので勝手に入ることにした。
因みに妹はぐずっているところを強硬手段で着替えさせ、先生を迎える準備だけはしておいた。
部屋の中央にはブスっとした妹が居た。
とても先生を迎える顔ではない。
「グロリア、こちらはカーネル・マグダリア先生よ。
今日からあなたの家庭教師になってもらいます」
「・・・・カーネルざます」
「・・・・・・」
「グロリア、ご挨拶をして」
「・・・・・グロリアです」
相変わらず蚊の鳴くような声だ。
「何ざます?全く聞こえなかったざます。
私は幽霊に話しかけているつもりはないざます」
おや?いきなりのスパルタ教育ですか?
有難いことですが。
私の隣に立つカーネル先生は人を見下す目でグロリアを見ていた。
意図的なのか本心からそうしているのかは今日会ったばかりなので分からない。
「もう一度仰ってくださいざます。
挨拶は人に聞こえなければ意味のないものざます」
「・・・・・」
「さぁ、早くざます!」
「グロリアです」
「先程よりはましになったざますね。
ですが、そのブスくれた顔はなんざます?
令嬢のする顔ではないざますね」
「私はお姉様と違って美人ではないので」
「美人だろうが不細工だろうがどっちでも構わないざます。
さぁ、笑顔をで挨拶ざます」
「楽しくもないのにできないわ」
「できなくてもするのが淑女ざます。早くするざます」
とうとうグロリアは泣き出してしまった。
だがカーネル先生はそこで手を緩める方ではなかった。
「泣いて許されるのは子供だけざます」
お父様が選んだだけあってなかなか厳しい方のようだ。
私は邪魔をしないようにこっそり部屋から出て行った。
カーネル先生は泊まり込みの家庭教師なのでその日からというもの先生とグロリアの厳しい特訓は毎日続いた。
「やぁ、セシル嬢」
グロリアの婚約者になったクリス様が様子を見に来た。
クリス様はグロリアの婚約者になったことを聞いた後「・・・・・・光栄だよ」と笑顔で言った。
本当にゴメンね、クリス様。
私があなたを父に押しましたとは言えなかった。
「グロリア嬢の様子はどうです?」
「毎日厳しい特訓が続いていますわ。
少しは様になってきているのではないかしら」
「そう。ならいいんですけど。
持病は発症していないのですか?」
クリス様の言う『持病』とはグロリアがよく使う「だって私は病弱だから」だ。
「持病はそう簡単に治りませんわ」
「それは残念です」
「会いに行かれます?」
「一応婚約者ですから。グロリア嬢の部屋でいいですか?」
「ええ」
婚約が決まってからもクリスは何度かグロリアの部屋を訪れているので慣れた足取りでクリスはグロリアの部屋へ行った。
勿論、素直に言うことを聞いてくれる人ではありません。
そんな人なら私達が被る苦労もストレスももう少しぐらい軽減されても良かったでしょう。
実際は私への悪口やグロリアへの心配などをぎゃあぎゃあ喚きながらお父様に命じられた忠実な使用人がお母様を無理やり馬車に押し込んで領地へ行くことになった。
そのことがよほどショックだったのかグロリアは食事も部屋でするようになった。
同じ屋根の下に暮らしているのだが滅多に、いや全く顔を見ることがない。
「ようこそいらっしゃいました、カーネル先生」
さて、グロリアは部屋にずっと閉じこもったままだが今日からはそうはいきません。
グロリアの家庭教師をしてくれるカーネル・マグダリア先生が我が家に来てくれました。
直角三角形のような眼鏡が特徴的
ワイン色の派手な髪は一つに結い上げ、紺色の地味なドレスを着ているが、髪のおかげで彼女が着ると地味にならない。
少々狐顔ではあるが、まぁ、厳しい先生の方がグロリアの為になるだろう。
「ラインネット伯爵家の長女セシルと申します。
生憎父は仕事で、変わって私が先生のご案内さをさせて頂きます」
「お初にお目にかかるざます、セシル嬢。
お噂はかねがねざます。さすがはラインネット伯爵家、躾が行き届いているざますね」
「・・・・・・」
ざます?
「妹の部屋へご案内します」
「私が来たからにはもう心配いらないざます。
見事、立派な淑女にして差し上げるざます」
「・・・・・ざます」
どういう伝手で探して来たのかは知らないがおかしな言葉遣いをする人のようだ。
まぁ、父が選んだのだから悪い人ではないのだろう。
「こちらが妹の部屋になります」
私はグロリアの部屋をノックしたが相変わらず返事がない。
「入るわよ、グロリア」
本来なら返事を待ってからだが、ない返事を待っても仕方がないので勝手に入ることにした。
因みに妹はぐずっているところを強硬手段で着替えさせ、先生を迎える準備だけはしておいた。
部屋の中央にはブスっとした妹が居た。
とても先生を迎える顔ではない。
「グロリア、こちらはカーネル・マグダリア先生よ。
今日からあなたの家庭教師になってもらいます」
「・・・・カーネルざます」
「・・・・・・」
「グロリア、ご挨拶をして」
「・・・・・グロリアです」
相変わらず蚊の鳴くような声だ。
「何ざます?全く聞こえなかったざます。
私は幽霊に話しかけているつもりはないざます」
おや?いきなりのスパルタ教育ですか?
有難いことですが。
私の隣に立つカーネル先生は人を見下す目でグロリアを見ていた。
意図的なのか本心からそうしているのかは今日会ったばかりなので分からない。
「もう一度仰ってくださいざます。
挨拶は人に聞こえなければ意味のないものざます」
「・・・・・」
「さぁ、早くざます!」
「グロリアです」
「先程よりはましになったざますね。
ですが、そのブスくれた顔はなんざます?
令嬢のする顔ではないざますね」
「私はお姉様と違って美人ではないので」
「美人だろうが不細工だろうがどっちでも構わないざます。
さぁ、笑顔をで挨拶ざます」
「楽しくもないのにできないわ」
「できなくてもするのが淑女ざます。早くするざます」
とうとうグロリアは泣き出してしまった。
だがカーネル先生はそこで手を緩める方ではなかった。
「泣いて許されるのは子供だけざます」
お父様が選んだだけあってなかなか厳しい方のようだ。
私は邪魔をしないようにこっそり部屋から出て行った。
カーネル先生は泊まり込みの家庭教師なのでその日からというもの先生とグロリアの厳しい特訓は毎日続いた。
「やぁ、セシル嬢」
グロリアの婚約者になったクリス様が様子を見に来た。
クリス様はグロリアの婚約者になったことを聞いた後「・・・・・・光栄だよ」と笑顔で言った。
本当にゴメンね、クリス様。
私があなたを父に押しましたとは言えなかった。
「グロリア嬢の様子はどうです?」
「毎日厳しい特訓が続いていますわ。
少しは様になってきているのではないかしら」
「そう。ならいいんですけど。
持病は発症していないのですか?」
クリス様の言う『持病』とはグロリアがよく使う「だって私は病弱だから」だ。
「持病はそう簡単に治りませんわ」
「それは残念です」
「会いに行かれます?」
「一応婚約者ですから。グロリア嬢の部屋でいいですか?」
「ええ」
婚約が決まってからもクリスは何度かグロリアの部屋を訪れているので慣れた足取りでクリスはグロリアの部屋へ行った。