ニセモノ夫婦~契約結婚ですが旦那様から甘く求められています~
エピローグ
「ママー、パパおっきした!」

「……んー、おはよう。小春」

 リビングの本棚を整理していると、優里(ゆうり)が颯馬さんの手を引いてこちらにやってきた。

「ちょっと優里、パパを起こしちゃったの? パパお仕事で疲れてるから、ゆっくり寝かせてあげようって約束したよね?」

 私がしゃがみ込んで言うと、優里は不服そうに唇を尖らせる。私は颯馬さんを見上げて困ったように眉尻を下げた。

「ごめんなさい。まだ寝てていいですよ。優里とは私が遊んでいるので」

「いいよ。小春も忙しいだろ。俺が遊ぶ。休みの日しかゆっくり一緒にいられないしな、優里」

 颯馬さんが優里の頭をぐりぐりとなでる。

「やんたー!」

 優里は舌っ足らずに喜びの声を上げながらその場で何度も跳ねた。
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