黒板に記される数字をノートに書き写す。

生徒に回答を求めることもせず、ただ講師が一方的に説明するだけの単調で退屈な授業。


前の席の優等生は英語の課題を必死に解いているし、横を見ても似たような感じだ。


誰もが、黒板を見ていない。




ここは都内有数の進学塾であり、私がいるクラスは特級コース。高校1年生から真剣に大学受験と向き合おうとする意識もレベルも高い生徒が集まっている。


当然授業の質は高く、キャリアも立派な講師が大勢いる中、

高校1年生向け、特級コースの数学講師だけが、異様を放っている。


「ね、大野さん」


トントンと肩を叩かれて、反射的に振り返る。


私は大野 花実(おおの はなみ)。
高校1年生だ。


「今晩、ご飯一緒にどう?」


ああ、彼も。
不真面目で特級コースには似つかわしくない生徒だ。

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