終わりにした夫婦

···胸にしみる 正基


正基・・・

亜子が家から居なくなって
一週間・・・
ゴミと洗濯物であふれ
風呂場やトイレは、カビ?
洗面台は、水垢?
部屋の中も埃っぽいような

母親に助けを求めた。

母にブツブツ言われたが
来てくれる····と、言ってくれた。

母にやり方を
教わりながら洗濯や掃除をする。

亜子の有り難みを、くどくど言われて
辟易するが・・
正直、自分自身痛感している
ことだった。

どんなに、会社の中で仕事ができても
どんなに、会社の仲間を大事にしても
誰も、家の事をしてくれるわけでも
俺が困っても
助けてくれるわけでもないんだ。

今になって、家族の大切さ
妻の大切さを思いしるなんて
情け······ない·····。

家の中を何日もかけて綺麗にして
両親に家を売却することを話した。

自分一人では管理できないから。

そして、静かな土地に移り
もの作りをしてみようかと思う
と、話すと、母は心配していたが
父は、なんでも経験してみたらよい
と、言った。

年をとる両親から離れるのも
心配であるから
一時間以内の所を探しながら
家の売却手続きもした。

会社の退職金は、自分で使わせてもらい
家の売却分の全てを亜子と子供達に
渡す事にした。

家と土地の売却がすんでから
西森の両親のお宅を訪ねて
離婚に至ったことをお詫びした。

調度、亜子のお姉さんも来ていて
お姉さんから叱られた。
「亜子は、赤ちゃんを失った辛さから
友達にも会えずにいたの。
だから、落ち着いたからと、
今更勝手に友達にも連絡出来ずに
あの子には、友達もいなくなっていたのよ。
中学、高校、大学の同窓会にも
一度も参加したこともない・・

それに、私達と旅行に行こうと言っても
正基さんが働いてくれているのにと
毎回断っていたの。
あの子にとって
あなた中心の生活をしていたのに。
もっと、妹を大切にして欲しかった。」
と、言われて
俺は、恥ずかしながら
西森の両親、お姉さんの前で
涙を止める事ができなかった。

「本当に申し訳ありませんでした。
これからの亜子さんの
幸せを祈ってます。」
と、言って帰路についた。

家の売却費用は、西森の両親から
四人に渡して貰えるように
お願いした。

西森の父は、
「体に気をつけて過ごしなさい。」
と、言ってくれた。

大事な娘を大切にしなかった
俺に・・
義父の言葉が胸にしみた。
< 29 / 51 >

この作品をシェア

pagetop