届かない想い・愛される喜び

4️⃣咲桜の気持ち


海音は、その場を離れ空港を後にして

車に戻ると
    母に連絡した。

「あっ、海音?」
「うん、母さん、会えたよ。」
「ほんと?良かった。
ありがとう。で、花恋、元気?」
「ああ、元気そうだったよ。
それに・・・」
「それに?」
「スゴく綺麗になっていたよ。」
「そう?だって、
元から綺麗な子だったからね。
まあ、モデルになってから
益々、綺麗になったわね。」
「えっ、母さん、知っていたの?
花恋が、モデルをやっているのを。」
「知ってるわよ、当たり前。
あらっ、あなたに話してなかったかしら」
「知らないよ、俺。
それに、花恋は、仕事で来ていたから
仕事の仲間の人と、行ったよ。」
「ああ、そうよね?
仕事で来たんだから。」
「はぁ・・・」
「海音、お疲れ様。」
と、言うと
お袋は、電話を切った。

まったく、何を考えているのだか・・・
と、お袋に思うが
不思議に怒る気にならなかった。

だけど・・本当に
花恋は、綺麗になっていたなぁ
と、考えながら
俺は、車を走らせた。



咲桜は、自分の肩をあげて
ため息をついた。

真理亜は、
「花恋は、もう大丈夫だから。」
と、言ってくれた。

海音を責めても仕方ない。
そう、わかっていても
花恋の気持ちを考えると
たまらなかった。

ただ・・・息子の
数時間の時間を無駄にさせるだけで、
何の報いになるわけでもないが
あんたが、こっぴどくふった子は、
綺麗になって世界で活躍して
いるのよ
って、思い知らせたかった。

我が子に意地悪する母親なんて。

だけど・・・

あの時の花恋の傷ついた顔を
私は忘れる事ができなかった・・・
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