【短編】魔法なんて、使わなくてもさ
魔法なんて、使わなくてもさ
友情とか愛情とか、
この感情に名前を付けようとしても
どの言葉もなんだかしっくりこない。
そんなのよりも
もっと、もっとなめらかで不変で
私たちにしか理解出来ないような、そんな感情。
言葉にできない関係。
言葉にしようとすると、
言葉の方が頼りなくなってしまうような。
答えのない関係。
そう思っていた。
そしてこのまま、
心地よい付かず離れずの関係を続けたいと
そう願っていた。
だけどね、気づいたんだ。
言葉にして、二人の答えが間違っていた時
関係が崩れてしまうのが怖いだけだったって。
ただ怖くて逃げてただけだって。