12月の春、白い桜が降る。
長い階段を登り終えると、それは小さな公園に繋がっていたようだ。

その公園は、ブランコと滑り台、砂場くらいしか遊具はなかったが、
この長い階段を登ってきた故、空は広く映り、
この街を一望できるほど眺めが良かった。

僕はこんな所があったのか、とひどく感心したのを覚えている。

隣にいた彼女も甲高い声で歓声をあげていた。

その日から、僕は友達と喧嘩したり、部活で上手くいかなかったり、
思春期でそれなりに悩んだりした時も、一人になりたい時も、
泣きたい時もずっとここへ一人で夜景を見に来ていた。
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